【人権】自由権【行政書士資格取得への道】

行政書士資格取得への道

①思想・良心の自由

国民がどのような世界観や人生観を持っていても、国が否定したりすることはできない。

※沈黙も自由

重要判例:謝罪広告事件(最大判昭31.7.4)

【事案】

選挙に立候補したXが、選挙期間中に対立候補であるYの名誉を毀損したとして。裁判所がXに対して謝罪広告を命じた。

【争点】

裁判所による謝罪広告の強制は、憲法19条に反しないか?

【判旨】

裁判所が謝罪広告の掲載を命ずることは、単に態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、思想・良心の自由を侵害することにはならない。

 

②信教の自由

■信仰の自由と限界

信教の自由 どの宗教を信仰するか、もしくはしないかは個人の自由

→公共の福祉による制約なし

宗教的行為の自由 どのような宗教活動をするかは個人の自由

→公共の福祉による制約あり

宗教的結社の自由 どのような宗教団体をつくるかは個人の自由

→公共の福祉による制約あり

 

重要判例:宗教法人オウム真理教解散命令事件(最決平8.1.30)

【事案】

宗教法人オウム真理教の毒ガス生成行為が宗教法人の解散事由にあたるとしてだされた解散命令が、

信教の自由を侵害するとして争われた。

【争点】

宗教法人解散命令は、憲法20条に違反しないか?

【決旨】

・宗教法人の解散命令の制度はもっぱら世俗的目的によるものであって、合理的である。

※世俗的:世間一般的に

・解散命令によってXやその信者らが行う宗教活動に何らかの支障を生ずることが避けられないものとしても、その支障は、解散命令に伴う間接的で事実上のものにとどまる。

※直接信仰する事自体を禁止していない。

・よって、解散命令は憲法20条1項に反しない

 

 

■政教分離原則

憲法20条3項

国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 

国と宗教の関わりすべてを排除する事ができないため、どの程度まで認めるかが問題になる。

 

重要判例:津地鎮祭事件(最大判昭52.7.13)

【事案】三重県津市が、市体育館の起工にあたり、神道式地鎮祭を挙行し、これに対して公金を出した。

【争点】

神道式地鎮祭が。政教分離原則に反するか?

【判旨】

・政教分離原則とは、国家が宗教との関わり合いを持つことを全く許さないとするものではなく、

宗教と関わる行為の目的および効果にかんがみ、それを相当とされる限度を超えるものを認められる場合にこれを許さないとするものである。

・地鎮祭の目的は、もっぱら世俗的になものと認められ、その効果は神道を援助し、またはその他の宗教を圧迫するものとは認められない。

・よって、地鎮祭への公的支出は、政教分離原則に反しない。

 

※国と宗教の関わり合いが全く認められないわけではない

相当限度を超える関わり合いを持つことを禁止する。

 

相当限度を超えるかどうかの判断

①なぜ、国がその宗教と関わったのかという目的

②かかわった事によってどのような効果(影響)が生じたのか

この2点から判断する(目的効果基準)

 

重要判例:愛媛玉串料事件(最大判平9.4.2)

【事案】

愛媛県が、靖国神社に奉納する玉串料などを公金から支出した。

【争点】

玉串料への公金支出は、政教分離原則に反するか?

【判旨】

・神社自体がその境内において業行する重要な祭祀に際して玉串料を奉納することは、

地鎮祭の場合とは異なり、一般人が社会的儀礼の一つに過ぎないと評価しているとは考え難い。

 

・県が玉串料を奉納した事は、その目的が宗教的意義を持ち、

その効果が神道に対する援助になる。

※わざわざ神社に出向いて玉串料を納める行為は世間一般的ではないという判断

・よって、玉串料の公的支出は、政教分離原則に反する。

 

 

③表現の自由

■表現の自由の保障

表現の自由は数ある人権の中で最も重要な物と言われている。

 

※表現活動によって、自己の人格を発展させることができる。

自己実現の価値

※表現活動によって、国民が政治的意思決定に関与する事ができる。

自己統治の価値

 

 

■表現の自由で保障されるもの

知る権利 保障される
報道の自由 保障される
取材の自由 保障されない(十分尊重に値する)
法廷でメモを取る自由 保障されない(尊重に値する)

 

 

重要判例:博多駅事件(最大決昭44.11.26)

【事案】

学生と機動隊員が衝突した事件で、裁判所がテレビ放送会社に撮影したテレビフィルムを証拠として提出するよう命令した。

【争点】

・報道機関の取材の自由と報道の自由は21条で保障されるか?

・裁判所のフィルム提出命令は、取材・報道の自由を侵害しないか?

【決旨】

・報道の自由は、国民の「知る権利」に奉仕するものなので、21条の保障のもとにある。

・取材の自由は、報道が正しい内容を持つために必要なものであるため、

21条の精神に照らし、十分尊重に値する

・しかし、取材の自由は公正な裁判の実現のために必要であれば、

ある程度制約する事はやむを得ず、テレビフィルムの提出命令は合憲である。

 

※取材の自由と公正な裁判の実現の両方を比べた結果、公正の裁判の実現を優先された。

 裁判で証拠を提出されるかされないかで有罪か無罪か変わってしまう事も考えると、

 取材の制限が制限されても仕方がない。

 

 

重要判例:レペタ訴訟(最大判平元.3.8)

【事案】米国弁護士レペタ氏が日本の裁判を研究するため法廷でメモを取ろうとしたが、裁判長がそれを拒否した。

【争点】

傍聴人がメモを取る行為は、21条で保障されるか?

【判旨】

・法廷でメモを取る自由は、21条の精神に照らして、尊重に値し、故なく妨げられてはならない。

・しかし、筆記行為の自由は21条1項の規定によって直接保障されている表現の自由そのものとは異なる制約であることから、その制限または禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。

 

※昔は記者クラブの所属している記者だけがメモを取る事ができた。

※この裁判をきっかけに、裁判所は一般傍聴人もメモを取ることを原則認めるようになった。

このことから、レペタ氏は日本において、「知る権利」を世界基準にまで引き上げた人物とされている。

 

■その他の表現の自由に関する判例

 

刑事裁判における証言拒絶 認められない(石井記者事件/最大判昭27.8.6)
民事裁判における証言拒絶 認められる(NHK記者事件/最決平18.10.3)
取材行為の限界 取材相手の人格の尊厳を著しく蹂躙するような取材行為は、正当な取材行為の範囲を逸脱する(西山記者事件/最決昭53.5.31)

※刑事事件について記者の証言拒絶が認められなかったのは、その証言によって被告人が罪に問われるかどうかに大きく関わるから。

 

 

■表現の自由に対する制約

いくら表現の自由が保障されるとしても他人に迷惑をかけるような表現については公共の福祉により規制される。

 

表現の自由の規制方法

内容規制→表現内容(中身)を規制

例)この演説はだめ!

 

内容中立規制→表現内容に関わらない規制(方法・場所・時間などを規制)

例)こんな場所で演説するのはだめ!

 

重要判例:船橋市西図書館蔵書破棄事件(最判平17.7.14)

【事案】

公立図書館の図書館職員が図書に対する否定的な評価から、107冊の書籍を破棄したことに対して、その書籍の著作者が国家賠償請求を行った。

【争点】

著作物の管理にあたって、職員が不公正な取り扱いをする事は21条に反しないか?

【判旨】

・著作者の思想の自由、表現の自由は、憲法により保障された基本的人権である。

・公立図書館の職員である公務員が、図書の破棄について、著作者または著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取り扱いをしたときは、当該図書の著作者の人格的利益を侵害する物として国家賠償法上違法となる。

 

※人格的利益:人として生きるために必要であり、守られるべき利益の事

※図書館職員が特定の図書を破棄する行為は「内容規制」に当たる。

 

重要判例:立川宿舎反戦ビラ配布事件(最判平20.4.11)

【事案】

Xらは「自衛隊イラク派兵反対」と記載したビラを自衛隊宿舎に投函する

目的で、管理者および居住者の承諾を得ずに同宿舎内に立ち入った。

この立ち入り行為について住居侵入罪(刑法130条)で起訴された。

【争点】

政治的意見を記載したビラの配布を目的とした立ち入り行為を処罰する事は21条1項に違反しないか?

【判旨】

・ビラの配布自体は表現の自由の行使という事ができるが、

21条1項も表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、

その手段が他人の権利を不当に害する様なものは許されない。

・今回は表現そのものを処罰する事が問題となっているのではなく、

管理権者の承諾なく立ち入った事を処罰する事が問題となっている。

 

※内容中立規制

 

 

■検閲の禁止

21条2項 「検閲は、これをしてはならない」

この記事は行政書士の資格取得を目指す筆者が、

「人に教える事が最強のアウトプット」という信念の元に作成しています。

 

検閲の定義

行政権が主体となって、

②思想内容等の表現物を対象とし、

③その全部または一部の発表の禁止を目的とし、

④対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的

発表前にその内容を審査した上で、

⑥不適当と認めるものの発表を禁止すること。

※この6つすべてに該当すれば検閲、1つでも該当しなければ検閲ではない。

 

重要判例:北方ジャーナル事件(最大判昭61.6.11)

【事案】

元旭川市長で北海道知事選の候補者Xを批判攻撃する記事を掲載した雑誌「北方ジャーナル」が、

発表前に名誉毀損を理由に、裁判所によって差し止められた。

【争点】

・裁判所の差し止めは「検閲」に該当するか?

・事前抑制はいかなる場合も許されるか?

【判旨】

・裁判所による出版物の事前差し止めは「検閲」にはあたらない。

・表現行為に対する事前抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する21条の趣旨を照らし、

表現行為に対する事前差し止めは原則として許されない。

・ただ、そのような場合であっても、①その表現内容が真実ではなく、またそれがもっぱら

公益を図る目的の物でない事が明白であって、かつ②被害者が重大にして著しく回復困難な損害を

被るおそれがある時は、例外的に事前差し止めが許される。

 

※裁判所は司法権であり、行政権ではない事から、検閲には当たらない。

※事前差し止めも原則禁止されているが、この判例のように例外的に認められる場合がある。

 

その他の検閲に関する判例

税務調査 わいせつビデオについて税関検査により輸入が認められなかった

→税関検査は検閲にあたらない

※すでに海外で発表されていたので発表の禁止にはあたらない

(税関検査事件/最大判昭59.12.12)

教科書検定 高校用教科書として検定申請をしたが、文部大臣により不合格の判定を受けた。

→教科書検定は検閲にあたらない。

※教科書検定に不合格でも一般図書として発刊できるので、発表の禁止や発表前の審査にはあたらない。

(第1次家永教科書事件/最判平5.3.16)

 

■集会・結社の自由

集会・結社は憲法で保障される

集団行動は「動く集会」として保障される。

※ただし、公共の福祉による制約がある。

 

④学問の自由

①学問研究の自由

②研究発表の自由

③教授の自由 ※教授して後世に伝えていくこと

 

⑤居住・移転・職業選択の自由

①国民の健康を守るため、医師免許がないものの開業は認めない

消極目的のための規制

 

②個人商店(社会的弱者)を守るため、ショッピングセンターの出店を規制する

積極目的のための規制

 

重要判例:小売市場距離制限事件(最大判昭47.11.22)

【事案】

Xは大阪府知事の許可を受けないで、その所有する建物を小売市場にするため、

小売商に貸し付けたが、小売商業調整特別措置法違反で起訴された。

 

【争点】

小売市場開設の距離制限規定は22条1項に反しないか?

 

【判旨】

・裁判官は経済のプロとは限らないので、基本的には国会で決めた政策を尊重する

・距離制限は経済弱者の小売商を過当競争による共倒れから保護するための措置。※積極目的規制

・距離制限規定は中小企業保護政策の一方策としてとった措置で、一応の合理性をみとめることができる

・よって、距離規制は合憲

 

重要判例:薬局距離制限事件(最大判昭50.4.30)

【事案】

Xが広島県知事に薬局の開設申請を行ったところ、薬局開設の適正配置規制に違反するとして不許可処分を受けた

 

【争点】

薬局開設の距離制限規定は、22条1項に反しないか?

 

【判旨】

・薬局開設の適正配置規制は、主として国民の生命および健康に対する危険の防止という消極的、

警察的目的のための規制措置である。

・薬局等の偏在-競争激化-薬局等の経営の不安定-不良医薬品の供給の危険という自由は、

薬局の距離制限規制の必要性と合理性を肯定するに足りない。

・したがって。薬局の距離制限規定は22条1項に反し、無効である。

 

※薬局の距離制限規定は違憲だが、医薬品の販売を許可制にしたことは必要かる合理的

※消極的規制の場合、現在の規制より緩やかな規制方法で、現在の規制は違憲となる。

 

⑥財産権

国民は自分で土地を持つことが出来、自由に使う事が保障されている→私有財産制

持っている財産を正当な理由なく奪われない権利→具体的財産権の保障

※ただし、公共の福祉のために、道路を拡張するなどの理由で土地を収用するのは認められる

→その場合は損失補償を請求する事ができる。

 

⑦人身の自由

国は正当な理由なく国民の身体を拘束してはいけない。

適正手続の保障

憲法第31条 法廷手続の保障

国民を罰する時は決められた手続きに則り、事前に告知や弁解の機会を与えなければならない。

①手続きの法定:刑罰を科すまでの手続きは法律で決めておかなればならない

②内容の適正:手続きの内容も適正でなければならない

③実体の法定:実体も法律で決めておかなればならない(罪刑法定主義)

④実体の適正:実体も適正でなければならない

 

重要判例:成田新法事件(最大判平4.7.1)

【事案】運輸大臣が成田新法に基づき、Xの所有する家屋の使用禁止命令を出したが、は事前に告知と聴聞の機会が与えられなかった

【争点】

告知・聴聞の機会を与えることなく家屋の使用を禁止する処分の成田新法は31条に反しないか?

【判旨】

刑事手続きは慎重に進める必要があるが、行政手続きは迅速に進める必要がある場合が多く、

行政手続きの場合は常に告知と聴聞の機会が必要というわけではない。

よって違憲ではない。

 

令状主義

被疑者や被告人にも権利について定められている。

※現行犯の場合は令状は不要

強制や拷問、脅迫によっての自白や、不当に長く拘留した後の自白は証拠にすることはできない。

 

刑事法規の不遡及・二十刑罰の禁止

・遡及処罰の禁止

当時は違法でなかったものを、後で作った法律で処罰してはいけない

 

・一時不再理の原則

無罪判決が出たら再度調べ直して処罰してはならない

 

・二重処罰の禁止

一度の犯罪に対して処罰を繰り返してはならない

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